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デンマーク「教育・福祉問題研修・視察」

2004年4月19日〜25日
   社民党自治体議員全国会議主催のデンマーク視察に参加しました。


 
@ エルシノア市児童・青少年課 「児童福祉・義務教育」についてヒアリング


 ▲マリアンネ・ペアソン情報担当と教育局コンサルタントの元校長ピータ・アーノッグ氏

 児童福祉と義務教育には,国の基準に基づいた予算配分が行われ,運用は市に任されている。完全な地方分権である。(高校や医療は県)
 各学校や施設に配分された予算も,その使途は機関に任されている。教員・職員の採用から施設設備まで自由な裁量が保障されている。

 エルシノア市の人口は62,000人,運営は各機関に任されいるため,児童福祉関係の行政官は35名と少数で,支援に徹している。
 学校や児童福祉施設に勤務する公務員は約2,000人。

 ▲行政官はすべて個室で執務


 「保育ママ制度」・保育園・幼稚園で約8,000人の収容能力を持っている。『必要のある家族に,必要な場を保障する』ことが法律で定められている。

 生後まもなくから,保育士が各家庭を訪問し,育児の相談に応じている。共働きの家庭もほとんどで,母親が孤立することによって起きる問題(保育ノイローゼや幼児虐待など)を未然に防いでいる。

 戦後,女性の社会参画を進め,共働きが普通になっている。それぞれの家族の生活形態に対応するフレキシブルな制度が準備されている。

 ▲自宅で幼児の保育をする「保育ママ」



 A エルシノア市 統合幼児施設 「エルベホイエン(Elverhoejen)」視察


 幼児の年齢分布の変化にも対応できるよう,保育園・幼稚園の統合施設が主流となってきている。

 ここは私立の施設だが,すべて市から配分される予算で経営が行われている。運営の方針は,市議・財団・保護者・職員・園長からなる理事会で決定される。

 自由な活動と,教育的活動がミックスされ,少人数によるファミリー・グループ(異年齢集団)で活動することが多い。



 ▲昼食後子どもたちは自由に遊んでいる





 ▲2歳児はおやつの時間








 ▲お昼寝は個室,外の空気を吸いながら






 昼食は日本のように,一斉に「いただきまーす」,ではなく,幅を持った時間帯になっている。各家庭で朝食の時刻が異なるのだから,それぞれの個に応じた昼食時刻にするのがあたりまえということである。小さなときから個は尊重されている。
 昼寝も個室である。個人と集団のバランスをもった保育・幼児教育が行われている。昼食を食べた時刻や,昼寝をしたかなどは,記録され,各保護者に毎日伝えられる。




 ▲イエッテ・キュール・ハンセン園長(前列右)と
      視察団全員で






 B エルシノア市 公立義務教育学校 「スネッカースティーン・スコーレ(SnekkerstenSkole)」視察


 デンマークの義務教育学校は9年間,義務ではないが入学前の1年間の「幼稚園組」と義務教育終了後の10年生も用意されている。この学校は1年生から6年生が学んでいる。

 校長は運営と財政の最高責任者である。予算や教材の決定等は,保護者・教職員・生徒代表・市議会議員・校長からなる理事会で審議され決定される。学校の主体性は十分に尊重されている。

 エルシノア市は特色のあるとりくみを行っている。その基本理念は「許容性」と「調和」ということである。ノーマライゼーションの考え方や,学校と学童保育,家庭・地域での生活の調和で成長段階に応じたスムーズな移行をめざしている。

▲ギッテ・グロータング校長からとりくみについてヒアリング

 全校生徒数は180人,学級のサイズは,17〜27人。小さい学校であるが,こぢんまりとしていて先生の目がよく届くと人気がある。
 地域の子どもの通学が優先されるが,遠くの地域から通う子もいる。

 教員は10名,校長とその秘書,2名の校務員が勤務している。30〜40歳代の女性教員が多いようである。

 教科別の授業に加え,学級学年の枠を超えたテーマ学習が6週間にわたり展開される。テーマは,「体と健康」「まちの歴史」「アンデルセン生誕200年」などだ。

 ▲1年生国語の授業



 授業日数や時間数は「国民学校法」で定められ,市議会の青少年委員会は各学校がそれぞれの目標に基づいて運営が行われるよう,支援を行う。学校の理事会は,年に10回程度開催される。

 学校は市議会に校長提案・理事会承認の「行動計画書」を提出し,学校の現状や教育目標,具体的計画,行政への要望等を届けることが決められている。

 暖かい人間愛,創造的刺激と発展,民主主義,忍耐・包容力,人権を大切にし,それに必要かつ十分な知識と技能を身につけさせたいと校長は述べられた。

 ▲4年生芸術の授業



 
▲6年生英語の授業で作文の発表

 教育内容は先生に任されており,計画は保護者に公開されている。年間計画や週単位の予定などを各先生が保護者に知らせている。

 保護者との協力関係は密である。学校行事には家族全員が参加することがあたりまえのようになっている。保護者会はクラス単位で年2回,他にも3者(担任・保護者・子ども)面談も行っている。行事やパーティーを開いたり,手紙やメール,ホームページを通じての意志疎通を積極的に行っている。学校と同じ敷地内にある学童保育との連携も図っている。



 C エルシノア市 高齢者アクティビティーセンター 「ハムレット(AktivitetscenterHamlet)」視察


 会員制のこのセンターでは,58の活動が行われている。市の職員3人と50人のボランティアがスタッフとなって企画・運営や情報提供が行われる。

 会員自身が講師となったり,外部の講師を招いて行われる活動もある。海外旅行などセンター外で行われる活動もある。

 最も若い会員は47歳,最高齢会員は103歳だそうだ。看護士とヘルパーが配置されており,できないことは無理にしない,マイペースが基本だ。








 ▲編み物クラブに入っている皆さん

 利用者委員会があり,アクティビティの内容,PR活動,行事の3分野に分かれ活動している

 学校の児童・生徒が時折見学にやってきて交流も行っている。





 ▲洋裁クラブで制作中                    ▲90才のおばあちゃんもメンバー


 D ブンゴード孝子さん 「少子化・福祉・教育」に関するレクチャー


 高齢者福祉の基本は教育にある。

 所得税50%,付加価値税(消費税)25%の高負担で成り立つ高福祉。国民が納得しているのは,「ソリダリティー」という助け合い・連帯の思想が定着しており,自分たちの意見を政治に生かし,それが生きるという民主主義の教育が小さい頃からしっかりと教育されているからだ。
 学校や地域家庭でそのための経験を積ませる活動が普通に行われている。




 学力低下ばかりが話題になる日本の教育はどこか違った方向に向かっているのではないだろうか。
 19世紀,次々と戦争で負けたデンマークは,失った金や土地は人的資源で取り戻せという方針の元,教育に力を注いだ。
 
 高齢者福祉の基本は,「自己決定」「継続性」「残存能力の活用」の3原則。お年寄りも皆生き生きとしている。



 E エルシノア市 高齢者ケアセンター/住宅 「ストランドホイ(Strandhoej)」視察


 2002年8月に完成したこの新しいケアセンターは,ここは施設ではなく利用者の「家」であるとの基本的な考え方が貫かれている。

 1つのユニットに8〜10人の入居者がいる。1人(1軒)あたりの面積は39uで他に共同スペース,食堂とキッチンがある。高齢者1人あたり1人を超えるスタッフが配置されている。

 市は利用者のニーズ把握し,判定委員会でサービス内容を決める,市や民間はこの決定に基づき利用者にサービスを提供する。

 高齢者福祉も市が担当する。国や県はノータッチである。

 ▲保育所の子どもたちが訪問していた


▼中の家具は入居者の愛用のもの










 ▲一人ひとりの部屋ごとに郵便受けがある



 1日20〜30人がセンターを利用している。(年金受給者)

 隣接して重度痴呆高齢者のためのホームが建てられている。ここではさらに多くのマンパワーが投入されている。


▼施設前を通る低床バス

 外からの利用者はこのバスで訪れることが多い。





 ▲各部屋には介護用リフトが取り付けられるレールが設置されている



 F エルシノア市議会議員との座談会

 
▲3人の市議会議員から教育福祉についてうかがう

 議員の報酬は実費程度,ほとんどボランティアのようである。議員は25名だが,立候補者は150ぐらいいるようだ。選挙運動は,討論会が主で市民はこの討論会に出かけ,候補者の主張等を聞き,誰に投票するかを決める。皆さん職業を持っている(女性は税務署職員,中央の男性は漁師,右の男性は元軍人)
 会議は夜がほとんど,4年任期の委員会に属し,市民との対話集会や学校などの理事会に出席。毎日忙しいとおっしゃっていた。議会や委員会には多くの傍聴者が訪れる。民主主義は進んでいる。



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